光は闇にかえり
闇は光を生み出す
すべてはそこから始まり
いつかはそこへ向かっていく。天と地が分かれ、
大地に生命が生まれる頃、
すでにルキュは存在した。
ルキュは大いなる闇を支配し、
いつしか魔王と呼ばれた。
魔王の力は絶対であった。
人間は魔王を恐れ、
その力の前にひれふした。しかしある時
運命を変えようとする者が現れる。英雄神ローダと
6人の聖騎士たち彼らは魔王に戦いを挑み
見事に魔王を封じ込めた。
人間がおびえて暮らす時代は
過去のものとなり、
新しい太陽が昇った〜 「魔王神話」 序説 〜
われは めざめたり…
われは めざめたり…
深き闇の底より 今 われは めざめたり…
聞け 人間ども
審判の時は来たのだ…
わが大地に解き放ちたる その一切の望みを捨て
いまわしき わが記憶を なぐさめよ
地にひれふし わが審判を待つがよい
われはルキュ…
われこそは真理なり
SFC末期に発売された、とても硬派な印象のRPG。説明書に描かれているキャラクター達は、皆やたらと濃い顔をしています。このゲームの要となる部分は、勇者ファルコと魔王ルキュの存在。これだけ聞くとありがちな展開を想像されるかもしれませんが、他のゲームとは違う点があります。それは、プレイするキャラクターの違い。
このダークハーフというゲームは、勇者側と魔王側の両方をプレイできるのです。物語は全七日に区切られていて、一日ずつ勇者側と魔王側をプレイして進めて行きます。一日は、シナリオ一つ分ということです。これをザッピングシナリオ RPGというようです。
ゲームをスタートすると、オープニングイベントの後、魔王ルキュの第一日が始まります。地上に降り立ったルキュは最寄の村へ行き、村人を殺しまくります。ルキュの通った後は、屍が転がるばかり。
「なんだい ウチは宿屋じゃないよ
『おまえが眠りにつくのだ
「はい いらっしゃい ご注文は?
『おまえの魂だ
もう、この台詞だけで震えてしまいました。このような会話で、どんどん人を殺します。魔王ルキュの通ったあとを勇者ファルコが訪れ、ルキュに殺された死体を調べると、希望の光というアイテムを入手できます。この希望の光を集めた数によって、エンディングも変化するのです。取扱説明書によりますと、これは魂の抜け殻システム
という名前のようです。
戦闘も少し特殊ですが、すぐに慣れることができました。戦闘よりも気を付けなければならないのは、ソウルパワーという数値です。画面左上に常時表示されており、フィールドやダンジョンを歩くだけで減少していきます。なくなるとゲームオーバーです。モンスターを倒したりすることで増えはしますが、ゲーム中は常に気にしておかなければなりません。
難しいといえば、ダンジョンなどのトラップや仕掛けも非常に難しく、こういう雰囲気のゲームが好きではない人は途中で投げ出すかもしれません。トラップや仕掛けの位置を把握するためには、建物内を入念に歩いて調べなくてはなりません。しかし無駄に歩いてばかりいると、どんどんソウルパワーは減少していきます。考えに考え抜いてダンジョンや迷宮を攻略できた後は、とても大きな達成感を得ることができました。
そして他にも、難易度を一段と上げている点があります。それはセーブできる場所と回数が限られている点。主なセーブポイントはシナリオ終了時。シナリオ中でも特定の場所に居るセーブキャラクターに話し掛けるとセーブできます。その時に各キャラクターの HPとソウルパワーが回復しますが、一度セーブすると、その場に居るセーブキャラクターは消えます。ゆっくりとプレイできる時間がある場合は、とても良い緊張感を生むと思いますが、急用が入った時や時間が無いのにスイッチを入れてしまった時は、焦燥感になります。紙一重です。
このゲームをプレイすると、気持ちがどちらかに傾くと思います。僕の場合はルキュでした。ファルコよりも、ルキュを操作している時の方が画面に近い位置でプレイしていました。発売時期と難易度の高さからか、あまり有名な作品では無いかもしれませんが、興味のわいた方は一度プレイしてみてはいかがでしょうか。なにもダークハーフにだけ当てはまる事ではありませんが、一度クリアすると、ダンジョンなどの仕掛けの解き方を覚えてしまうので、少し寂しい。