悪夢の大学院入試
たった今から真人間になる 固い決意をして教室に入った筆者、芸夢遊太郎。 だが、教室には誰もいませんでした。 一瞬、部屋を間違えたのかと思いましたが、中の机には受験番号が書かれた紙が貼られています。 部屋を間違えたわけではないようです。 思わぬ事態に戸惑いながらも、試験が始まるまで1時間目の試験科目である基礎科目の数学と物理の 復習をすることにしました。 そうです。さっきの真人間になるという決意。 その決意が本物かどうかは今、現在の行動によって明らかになるのです。 試験10分前、他の受験生がやって来ました。 何だか小テストを受ける時のような雰囲気です。 何だってんだ、一体! 俺のせっかくの決意をくじくようなことをしやがって! だが、俺は違う! 全力で試験に臨み、合格を勝ち取るんだ! そんなことを考えていると、体の変化に気付きました。 げえっ……気分が悪い…… 車酔いが悪化したのでした。 どうやら、復習で参考書の見直しをしたことにより、下を向いたまま一点を凝視するという車酔いしている時に 最も悪く作用する行動をしてしまったようです。 「真人間になる」という決意が最悪の結果を生んだのでした。 こうして筆者の決意は30分も経たないうちに存在意義がなくなってしまったのです。 せっかく心を入れ替えようとしたのに、こんなことになるなんて…… こんなことになるなら「真人間になる」なんて考えなければ良かった……
こうして筆者の大学院の試験は幕を開けたのです。
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