悪夢の大学院入試
午前中の試験が終わると、1時間の休憩があります。 筆者以外の人は全員、食事をしに教室を出ていきました。見たところ、全員知り合い(=内部生)のようです。 (外部から受ける人は俺一人だけか…) そんな孤独感に浸りながら弁当を食べて、数学の復習をすることにしました。午前中は失敗したとはいえ、まだ専門科目の数学が残っているのです。 幸い、少し休んだら車酔いもすっかり良くなりました。 (←少し休んでこれだけ効果があるなら、試験前に休んでおくべきだった…) そして、復習は順調に進み、いよいよ最後の試験です。 3時間目 専門科目(数学) 今回も復習したところからは全く出題されませんでした。 休憩時間での努力は、またしても無駄だったようです。 試験の内容は8問中2問を選んで解答するというもので、筆者の専門分野である解析学からは複素関数と微分方程式から1問ずつ出題されていました。 そのうち、筆者が解いたのは複素関数の問題だけで、微分方程式の問題は選択しませんでした。 微分方程式の問題は、少し解いた時点で答えが変な形になってしまったので、面倒になって解くのをやめてしまったのです。 その代わりに選択したのが分野不明の問題でした。 その問題は何故か単純な計算だけで解くことができたのです。 この2つの問題を選択した筆者は時計で頻繁に時間を確認しながら問題を解きました。 午前中の試験のように時間配分で失敗するわけにはいかなかったからです。 数十分後 問題はあっさりと解き終わりました。残り時間は1時間以上あります。 どうやら時間配分を心配する必要は全くなかったようです。 だが、その時の筆者はそんなことを気にしてはいませんでした。 選択した問題が両方とも解けたからです。しかも、見直しや検算で答えを確認しても答えは完璧でした。 (この専門科目の試験は完璧だ。これで合格は決まったーーっっ!) 翌日の面接どころか、当日の試験でさえ終わっていないというのに、筆者は勝手に合格を確信していました。 こうして試験が終わり、家に帰る途中で筆者はある不安感に襲われました。 その原因は専門科目の試験で解いた、単純な計算だけで解ける分野不明の問題です。
(おかしい…国立大学大学院の試験に単純な計算だけで解ける問題が出るわけがない。 試験が終わって家に帰っても、試験の疲れと久しぶりに早起きした反動から試験の見直しもせずに、とっとと寝てしまいました。 専門科目の答えは完璧だから、見直しなどする必要はないなどと都合の良いことを考えながら…… |