前に戻る


悪夢の大学院入試




翌日の面接の日、筆者は早めに面接会場であるB大学に向かいました。

面接の待機場所で待っていると、一人、二人と他の受験生も現れ、前日の試験の見直しをはじめました。
どうやら、試験の見直しをしていなかったのは筆者だけのようです。

(見直しをしなかったのは、やはりまずかったのだろうか・・・
 しかし、専門科目の答えは完璧のはずだ・・・)

などと悩んでいると、いよいよ面接の時間です。

面接会場

教室に入ると、早速いろいろと聞かれました。
だが、ここで思いもしないことが起こったのです。

口がうまく動かない!

それが筆者が面接で最初に考えたことでした。
考えてみれば、この1ヶ月で人と話したのは、さっきの待機場所で他の受験生と雑談をしたくらいのような気がします。
その原因は周りの人がとっくの昔に就職したからですが・・・自業自得か
いえ、本当の理由は大学の人が同じ県内に住んでいないからです。 あっ、試験勉強に打ち込んでいたからと答えるべきだった。

そんな状態で基本的な質問に答えると、さっそく試験問題について聞かれました。

試験官 「専門は解析学なのに、何故5番の微分方程式の問題を解かなかったのかな?」

芸夢遊太郎 「その問題は途中まで解いたのですが、答えが変な形になってしまったので、他の問題を解きました。」

だーーーーーっ!何で正直に答えているんだ!!
 これでは問題を解けなかったと言っているのと同じじゃないか!!

面接開始1分にして、重大なミスをしてしまいました。
しかし、これは始まりにすぎなかったのです。

試験官 「それで、その問題は解けた?」

芸夢遊太郎 「一応解けましたが、多分間違っていると思います。」(弱気)

試験官 「その問題は、問題が悪かったんだ。あれじゃ計算で解けてしまうし。」

やはり、解き方が違っていたのです。

試験官 「それで、解き方は分かったかな?」

芸夢遊太郎「 (何だろう? ラグランジェの未定乗数法ではないし・・・)」

試験官 「間違ってもいいから言ってごらん」

ここで説明しておきます。 筆者は嘘をつくことが苦手です。
というより、筆者の考えていることはすぐに顔に表れてしまうので、読心術を使う必要もなく心をよまれてしまうのです。
そして、この時もあっさりと心を読まれてこんなことを言われたのでした。

芸夢遊太郎 「ラグランジェの未定乗数法ですか・・・」

ぎゃーーーーーっ!俺は何を言っているんだ!!
 未定乗数法でないことはわかっているのに、何でこんなことを言っているんだ!!

頭を柱に打ちつけたいくなる気持ちというのは、この時の筆者の心情のことをいうのでしょう。
筆者は頭の中が真っ白になりかけているのを自覚しました。

試験官 「うーん。違うな。ユークリッドの互除法を使って解くんだ。」

芸夢遊太郎 「あっ、ユークリッドの互除法なら高校生の時に習いました。」

もういい加減にしてくれ!!
 大学院の試験に高校の問題が出るわけないだろ!!

試験官 「いや、高校の習ったのとは違って分数を使って解くんだ。」

1問の問題を答えるのに、これほどの失敗をする人はどれだけいるのでしょうか。
筆者は自分で自分を呪いたい気分になっていました。
この後に、さらなる悲劇が待ち受けているとも知らずに・・・

次へ続く

芸夢闘争記に戻る

トップページに戻る